太陽光発電における「蓄電池」とは?

近年、”太陽光発電”と検索すると必ずといっていいほど関連したワードとして検出される「蓄電池」


何か関連しているの?なぜ最近になってこのワードが浮上してきたの?という点を考えつつ、”家庭用蓄電池”とは何かを
分かりやすくお伝えしたいと思います!

出典:長州産業

太陽光発電と蓄電池がセットで言われるようになった背景

その言葉通り『ソーラーパネルで発電した電気を貯めておく事』というのはお分かりかと思いますが、これまではあまりセットでは
取り扱われませんでした。

なぜかというと、ずばり蓄電池が”高額”であったため・・・・!

ひと昔前は太陽光発電+蓄電池だととてもコスト回収ができない金額であったため、誰も導入を検討しませんよね。なのでセットで
提案する企業はあまりいませんでした。
近年セットでオススメするようになったのは単純に蓄電池の価格が下がり始め、性能も良くなってきたことやコンパクト化してきたこと、あとは卒FITやFIP制度を見据えてのことです!

卒FITとは

2009年より開始した住宅用のFIT制度(固定価格買取制度/10年)において、10年経過し終了した契約は[卒FIT]と呼ばれています。
一般的に家庭用は自家消費して余った分を余剰売電しているため、2019年より続々と卒FITの住宅が出てきます。

FIP制度とは

2022年より、FIT制度が改正されて産業用低圧発電所(50kw以下)も「全量買取」ではなく、自家消費後の「余剰買取」のみと
なりました。それをFIP制度と呼んでいます。

家庭用蓄電池の種類は主に2種類

太陽発電+蓄電池のサイトやカタログを見ても何がどうなのかという初歩的なことが分かりにくいので、筆者が確認した範囲内ですが
ざっくりと解説します!

大きく2つに分けられ、それらは停電時の”出力量”が大きく異なります。

ハイブリッド蓄電システム

ソーラーパネルで発電した電力を、効率よく『売電・蓄電・自家消費』と使い分けることができる蓄電システム。

特に停電時、発電した電力を”出力”する際に電気の変換効率が良いためにより多くの電力を使用することができる点がメリットで、
災害に備えた”蓄電優先モード”を選べる機器もあります。
ただしその分価格が高く、既存のパワーコンディショナーを付け替える必要があるためパワコンを買い替えたばかりだとためらってしまいますね。

出典:長州産業

単機能蓄電システム

既存のパワーコンディショナーはそのまま蓄電池を追加できるため、導入コストもハイブリットよりやや抑えることできます。

こちらは停電時の発電電力を出力する際に、どんなに晴天でもおよそ1.5kWしか出力ができません。そのため停電時に蓄電池まで電力を回せずに蓄電できず、夜間は電気が使えない・・・なんてことも起こり得るかもしまれせん。


※出力電力はメーカー・機器により異なる場合があります。1.5kW以上出力できる機器もあるようです。☞参照:iedenchi

※ソーラーパネルを設置せず、通常電力を購入していて蓄電池を導入したい場合はこちらのシステムになります。

+αの機能:全負荷対応型

全負荷対応型とは、停電時に家全体の電気をすべて蓄電池で賄うシステムです。
通常停電時は1か所(主にリビングなど)のみに電力が供給され、その方が蓄電地の電力を少しずつ使えるため良いのかもしれませんが、オール電化住宅となると1か所のみでは不足する場合があります。
特に暖房や給湯の系統や、200VのIH機器・エアコンなど停電時も必要な家電が全負荷対応型でないと使用できない場合があります。
メーカーによって異なるので、停電時なにが必要か、それが使用できる蓄電池の種類をよく調べてから導入したいですね。

出典:長州産業

特に北海道の冬に停電した場合、『暖房』は死活問題です。必ず停電時に蓄電池で暖房が使える機器を選定しましょう・・・!

蓄電池の容量と、およその価格帯は?

電力を蓄えられる量は電気使用量の単位である「kWh」を目安にします。
一般的な家庭が1日に使用する電力は季節・地域によりますが・・・・☟

参考:総務省統計局

世帯人数によって蓄電池の容量を選定するのが良いかと思いますが、停電時には節電をするでしょうし単身世帯で蓄電池の導入はあまり想定されないこと、また住宅屋根に設置している太陽光発電システムと併用を考えると大体10kWh前後の機器が主流のようです。

また10kWhの機器で価格がどの程度なのかを調べてみたところ、メーカーにより様々かつオープン価格のためこれはコスト回収できるのか疑問を抱く金額ではありますが参考までに。

ハイブリット蓄電システム:350~500万円

●単機能蓄電システム:300万円前後

価格が下がってきたとはいえ、おいそれと買える値段ではないですね・・・・!!
あとはここからどの程度値引きができるかどうかです。

どの種類が自宅に最適か考えてみる

結局のところ、メーカー・機器・既存の太陽光パネル・設置年数・地域などにより大きく異なりますのでご自身で調べるもしくは数社業者に見積りを依頼するのが最適解への近道なのかと思います。

しかし利益優先の業者もいますので、この条件の場合はこれ!という筆者の判断内容としては以下を記載しますのでご参考までに。

<ハイブリット蓄電システム>

  • すでに太陽光発電システムを設置していて、10年程度経過している
  • これから住宅を新築&太陽光発電を設置する
  • オール電化住宅の場合
  • 停電時に安心して電気を使用したい

<単機能蓄電システム>

  • 単純に蓄電池を追加で導入したい
  • パワコンを交換したばかりで出費を抑えたい
  • 普段から電力をあまり使用せず、低コストで万が一に備えたい

<+全負荷対応型>

  • オール電化住宅の場合
  • 200V使用可能なのが全負荷対応型しかない蓄電池を導入の場合
  • 大家族や複数世帯で住んでいる家庭

まとめ

太陽光発電+蓄電池にはそれなりにコストがかかりますが、やはり災害(停電)時にはかなり心強いシステムです。

北海道では2018年9月のブラックアウトで数日間全く電気が使えず、携帯電話も通じなくなるという事態に陥りました。
その際にもし自宅で電気を賄えていたら、不安もいくらかやわらぎ地域の方にも貢献できただろうかと思います。

日々の電気代を抑え導入コストを回収しつつ災害への備えにもなる、という事を思えば、これから住宅を建てられる方や卒FITの方は
前向きに検討して良いのではないでしょうか。

別記事にて機器・メーカー別に蓄電池を比較してみたいと思います!